主張 クースの郷の落成を喜ぶ(平成25年5月17日)

  • [公開・発行日] 2013/05/17
    [ 最終更新日 ] 2015/10/16
   

低迷を続けているわが琉球泡盛の起死回生の一手として長期貯蔵酒、つまりクース(古酒)の郷の一期工事施設が完成し、その落成式と祝賀会が去る3月27日うるま市の同施設で開催された、2013_05_kosyu_township_claim泡盛業界の長い懸案だったクースの共同貯蔵施設である。

全国的に今酒類産業は落ち込んでいる。この時期に熟成酒を貯えて他酒類に挑み消費者に振り向かせるという構想は遅きに失した感はあるが賢明な策である。

わが琉球のクース酒(じゃき)は沖縄独特な酒質であってその技法は世界に類を見ない。「鷺泉」のペンネームの尚順男爵(松山王子)の遺稿集の中の“古酒の話”(月刊琉球の昭和12年掲載)に王子は「古酒は単に沖縄県銘酒で片附けては勿体ない。

何処から見ても沖縄の宝物の一つだ。元来泡盛の古酒が西洋辺りの葡萄酒の様に、只穴蔵に入れ置いて済むものではない。

古酒を作るには最初から此れに注ぎ足す用意として、尠(すく)なくも2、3番内至4、5番目の酒を作って置きながら数百年の間、蒸発作用に依る減量酒精分の放散等に対し、常に細心の注意を以て本来の風味を損ぜしない様に貯えて置く苦心を認識したら、誰しも此れに宝物の名称を冠するに於て異論は無いのであろう」と書いている。

琉球泡盛の一消費者であった琉球王国最後の王様尚泰王の四男だった尚順が昭和12年にわが琉球泡盛のクースを此のように喝破しているのである。

男爵は続けて言っている「古酒を飲んだ後の酒と来たら、迚も不味くって飲まれるものではない」更に飲む器にも言及しているが割愛したい。

わが琉球泡盛のクースはその作り方といい世界に誇る「国酒」であり、日本国中にその気候風土や容器の土質等沖縄独特唯一の「宝物」であり、真似の出来ない酒である。

今回の“古酒の郷”の落成は泡盛製造業界のみならず、われわれ沖縄県民の誇りであり喜びである。

クースの定義は3年以上成熟した泡盛であるが、第2、第3工期と建設し、貯蔵容器を増やし、最終的にはタンクによっては20年、30年貯蔵酒否100年、300年貯蔵酒と貯え、われわれ県民はおろか、県外の人々に広く販売してその裾野を広げて欲しい・我々の先人が遺してくれた琉球の宝物琉球泡盛のクースが世界の人々に認知され、その売り上げが伸びていくことこそが先人が遺してくれた偉大なる文化遺産の継承発展である。

ただ時代に相応するよううまい古酒の低度数も一考したい。古酒の郷の落成を1番に喜んでくれているのは松山王子尚順であろうし、それに報いるのが泡盛製造業者である。目先だけの姑息な考え方を捨てて“泡盛百年の大計に立て”と言いたい。落成を心から喜ぶものである。

平成25年5月17日掲載記事

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