2年ぶりの産業まつり潜入レポート-嘉手川学「ノンダセレクション」決行-

  • [公開・発行日] 2018/11/05
    [ 最終更新日 ] 2018/11/12
   

10月19日(金)から21日(日)にかけて奥武山公園をメイン会場に「第42回沖縄の産業まつり」が開催された。昨年は台風で残念ながら開催されなかったので、久しぶりの体験レポートである。レポート担当は最近何かと忙しい泡盛新聞の嘉手川学である。 なんせ、去年11月の「泡盛の夕べ」の原稿を落として以来、泡盛新聞編集部から「最近、忙しそうなので、いつでもいいから原稿書いてね」という優しい言葉が重圧となって、かつ負い目になっていたので、今回は原稿を全うしようと思ったのである。

とはいえ、今日まで(産業まつり取材の日ネ)、取材に行く時間もないうえに原稿を書く時間を作れなかったのでレポートを控えていたのは確かである。が、やっぱり、産業まつりのレポートは別で、どうしても取材したかったので、隣国の指導者に似たわが社の主宰に記事を書く宣言をしたのであった。

オリオンビール

ただ、今回は取材する時間が土曜日の昼間だけなので、全部のお酒を試飲することができないので歩きながら飲みたいと思ったお酒を試飲する、いわば、モンドセレクションならぬ、嘉手川学の「ノンダセレクション」にしようかと思っているという旨を主宰に伝えると、家まで迎えに来てくれるという。ついでに取材に集中できるように写真も撮ってくれるというので、それもお願いした。「さすが主宰、わかっているなぁ」と思いつつ車に乗り込むと、車の中でさりげなく「原稿をくれぐれもよろしく」と念を押すところを見ると、ボクが原稿を落とさないか警戒している風でもあった。

なんだかんだといって、12時すぎに会場に着いた。今回、一緒に会場を回るのは、ボクも最近お気に入り、壺屋「オニノウデ」のオーナー・佐久川氏。二人とも個人的コレクションと仕入れも兼ねているという。 会場に着くとまずは喉を潤すためにオリオンビールのブースへ行って名護でしか飲めないという「75ビール」を注文。

ビール

一口飲むと「味が濃い。旨味と甘味とコクがあり、香りがいい。色も味の濃さが感じられる。もしかしたら、今まで飲んだビールの中でも上位に入る美味しさかも」と思った。この日は暑くて喉が渇いていたこともあったけど、それを差し引いても美味しいビールだと思った。おっと、泡盛新聞なのにいきなりビールを褒めてしまった。でも、あまりにも美味しかったので青空をバックに記念撮影を撮る。 立て続けにビールをお代わりしていよいよ取材開始。

崎山酒造廠

最初の試飲は崎山酒造廠から。産業まつりに合わせた商品の「蒸留仕立て44度~黒糖酵母~」と「蒸留仕立て44度~一〇一号酵母~」を試飲。どちらも無濾過・無割水で甘味があってカッとくるものがなくて44度とは思えないほど飲みやすい。味も若干違いがあり、黒糖酵母のほうが甘味と香りは少し強い気がする。複雑な旨味があるため古酒になるといろいろな風味が出てくるだろうと感じさせた。これだけでいい気分になってきた。 続いて石川酒造場の甕貯蔵の「玉友 沈黙1998」。甕が生み出した黄金色の古酒で、意外とアッサリして甘味があり、甕香がいい感じで深い味わいになっている。芳醇な甕香に感動して、ついつい試飲をお代わりしてしまった。

沈黙

次は神村酒造の「暖流 PREMIUM BLEND 50度」。この暖流PREMIUMは今回の産業まつりで一番飲みたかった銘柄。早速、試飲をしてみると「美味しい。甘さがあって樽の風味は高いけどちゃんと泡盛らしい芳醇さも感じられて上品な味わい」。泡盛としても上質な旨さがあり、聞いたところ樽12年、樽7年、タンク初留6年、タンク7年の古酒がブレンドされているという。樽貯蔵の「暖流」を発売して50年という歴史が感じられる味わいと思った。

暖流

もう一度お代わりした後、続いて「初垂れ66度・芳醇仕込み」も試飲。もろみを蒸留して最初の30分の間にしか取れないお酒で、米と麹と酵母の持つ味と香りが味わえる、泡盛の持つ本来の味が味わえるお酒である。66度と度数は強いがグワッとする飲み口の中にいろいろな味わいが感じられる旨さがあった。強いけどもう一度試飲すると、ほんわかとした気持ちになってくる。

取材した日は天気が良すぎて外気温は間違いなく高くなっているけど、気温だけでなく体の中から熱くなってきたようである。

次に向かったのが「田嘉里酒造」から社名変更して1年になる「やんばる酒造」。おすすめというか飲みたかった銘柄が「大山原(うふやんばる)44度 17年古酒」。口に含むと「香りが高く甘味があり、舌の上でジックリ転がすと風光明媚なまさに山原の、しかも銘柄通り大山原の大自然の風景、風と水と光が感じられるような気がした。何より濃厚だけど44度とは思えないほどスキっとした味わいいい」。以前、この酒造所に行ったことがあるけど、その時の風景が浮かぶ味わいで、ボク好みの味わいだなぁと思った。

大山原

続いては新里酒造の「新里 7年古酒 41度」。樽貯蔵7年古酒だけど、樽貯蔵10年古酒を10%ブレンドしているというだけあって、樽の香りが高くて喉に引っかかる刺々しさもなくなく、41度とは思えないほど甘くマイルドで飲みやすい。飲んでしばらくすると、余韻としてチョコレートやバニラ香がほのかにのどの奥から漂ってくる。ウィスキーとはまた違う美味しさがある。もちろん、ここでもお代わりをした。

新里

次のコーナーへ行こうとしたら、いろいろ買っていた金正恩、あ、違った我が主宰が「いろいろ買いすぎて、準備していた実弾が切れた。コンビニでおろしてくるから適当に見ていて」といい残し、現場を離れていったので一人で多良川ブースに行く。ここでは「古酒 2002 41度」を試飲。「41度とは思えないほどまろみがあって飲みやすくて、でも、飲み口がさっぱりしていて、じっくりと何杯でも飲めそう」。というわけで、2度ほど試飲のお代わりをする。

多良川

続いてこの夏からいろいろとお世話になっているヘリオス酒造へ。飲みたいと思ったのは「古酒 くら 原酒12年」。伝統の手法で作られた泡盛を「くら」の原酒専用の樫樽で12年熟成させたと、ポップに書かれているだけあって、シングルモルトウィスキーの風味と古酒ならではの芳醇な旨味が感じられる一本。一昨年も試飲が1杯200円と有料だったけど、あまりにも美味しかったので今年も飲むことにした。で、味はというと本格的な樽の香りと甘い香り、ウィスキーとしての旨さもありながら、泡盛の芳醇さが確かにあり、美味しい酒と思った。残念ながら税法上は泡盛ではないけれど、泡盛でなければこの美味しさは出ない味だと思った。

くら

と、ここまで飲んでいたらいろいろ買い物を続行していた主宰と合流。とたんにお腹が空いたので、よく考えたらお昼ご飯を食べずに試飲していたことに気がついた。買い物があらかた済んだと主宰が言ったのでお昼を食べようとなった。どうせなら美味しいものを食べたいと思い、会場入り口に戻り某製麺所の沖縄そばを食べた。

お昼を食べてホッとしたらなんだかドッと疲れてしまい、今回の産業まつりの試飲歩き(のみあるき)はここで終了することにした。他にも飲みたい泡盛やお酒はいっぱいあったけど、体力の限界とほろ酔い加減がちょうどいいので帰ることに。

帰ることになってハタっと気がついたのだけれど、今回の試飲は色付きのお酒が多かった。でも、色はついても泡盛の持つ美味しさは変わらなかったので、泡盛の奥深さが感じられる試飲だったなぁと思いつつ、主宰と佐久川さんに別れを告げてゆいレールに乗って帰途に着いたのであった。

(文・嘉手川学)

やんばる酒造

女王神村酒造

いむげー

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