世界征服を企む秘密結社“謎の集会に潜入レポート”(文・嘉手川学)

   

7月13日(木)、牧志公設市場の一角の小ぢんまりとした店内で、所狭しと県内全ての泡盛メーカーの銘柄を並べる専門店「泡盛之店 琉夏」が、創業13周年祭を行うと聞いて参加することにした。会場は沖映通りをちょこっと横に入ったところにある、島の野菜や豚肉などを使った料理と泡盛が評判の「沖縄食堂 じまんや」。

実は、去年もこの周年祭への参加の声をかけられていたのだが、日程的な都合がつかず諦めたのである。ホントのことを言えば今年も用事があって参加を見合わそうと思ったのだけれど、とある噂を耳にしてこれは泡盛新聞として真実を確かめなければならないという使命から参加することにしたのである。

その噂とは、今年で13回目の周年祭を開催する「泡盛之店 琉夏」は実は表向きの顔で、その裏では世界征服を企む秘密結社のアジトではないか、というのである。我社の強面主宰によれば、「真実を確かめるため、すでに密偵をその結社に送り込んでいるけど、嘉手川さんも取材を装い実態を解明してください」という。使命を帯びたボクは主宰に密偵が誰か聞いたところ、「不用意に嘉手川さんと接触したら、彼らの正体がバレて危険が危ないのであえて名前は伏せておきますネ」という。

2017_07-13_sneak-report_secret-society-black-koji-team01その後、ボクは情報網を駆使してその結社の正体を探っていたら驚くべき事実と文書を発見した。結社の名前は「黒麹團(くろこうじだん)」。いかにも怪しげである。しかも、その文書は「我々ハ泡盛デ世界征服ヲ企テル秘密結社ナリ」という序文から始まっていた。そのあとに続く文言はまだ入手できていないが、いろいろなルートから情報を集めて集約すると、どうやら黒麹團は泡盛で世界征服を企む秘密結社で、泡盛や日本酒、ビールを問わずお酒に関するイベントや飲み会などに、黒麹團員のみ着用が許されているTシャツで参加しているのだ。そしてその席で泡盛の美味しさを身をもって表現し、その場にいる多くの人に泡盛を普及すべく洗脳に努めるという活動を積極的に行っている。

宴の開始の時間は18時。ボクはその事実を確かめるべく、少し早めに会場入りすると、琉夏の店主の小野さんが黒いTシャツを来た一団と、普通のTシャツやかりゆしウェアを着た数人と何やら秘密会議らしきことをしていた。ボクが来ると少し慌てて、すぐさま2階会場へ案内した。会場には一番乗りだったようで、しばらく待っていても誰も来ないので、階段をそっと降り会議の様子をこっそりと覗いた。すると小野さんはバッグの中から黒いモノを出し、ふつうの格好をした一人一人に渡し、それから順々に謎の透明な液体を注いだ猪口を渡し、何やら儀式めいた言葉を発して一気に飲ませた。飲んだ人たちは「カ~ッ、強烈」といいながら嬉しそうな顔をしていた。どうやら小野さんは謎の結社の関係者のようでもある。

どうもボクは重要な現場を目撃したようである。何食わぬ顔をして席に戻ると、徐々にお客が増えていき階下にいた謎の軍団も上がってきた。しかも驚いたことに全員が黒いTシャツを着ており、その胸には大きく「黒麹團」の文字が刻まれていた。もちろん、今回の周年祭を開催した小野さんもTシャツを着用していた。それを見てボクは確信した。「小野さんは間違いなく黒麹團の首領である」と。

2017_07-13_sneak-report_secret-society-black-koji-team02しばらくするとボクの斜め向かいに泡盛関連のイベントには必ずいる、といわれている我社のお出かけ浜ちゃんこと浜ちゃんが座った。しかも、黒麹團のTシャツを来て。ボクはその時、泡盛新聞の強面主宰の言っていた「密偵を送り込んだよ」という言葉が理解できた。ボクは浜ちゃんが我社の密偵だと気づかれないよう、ごく普通に浜ちゃんと接したのである。

そしてドン小野さんが開会のあいさつ。「今日は平日にもかかわらず、たくさんの参加ありがとう。今日は泡盛呑み放題食べ放題。テーブルの上の泡盛はどれも好きなだけ飲んでください。また、ビールは現金精算で、場所を提供して頂いているお店側の利益となりますのでご協力よろしくお願いします」的な、あいさつをした。黒麹団についてはひとことも触れずに。怪しいと思ったが乾杯となり会が始まった。

ボクの座ったテーブルには浜ちゃんの他、わざわざこの日に合わせて東京からやって来たみんなから「姐御」と呼ばれる姐御かおりさん、識名酒造の識名盛貴さん、そして久米仙酒造の名ブレンダーのまっきー中村さんなど5人が座った。驚いたことに姐御と識名盛貴さんも黒麹團のTシャツを着ており、泡盛で世界征服を目論む秘密結社の本気度は県外にも、さらに蔵元まで巻き込んでいることが伺えた。

この会には多くの酒造所の協力があり、今回は瑞穂酒造や神村酒造、崎山酒造廠、久米仙酒造、識名酒造、忠孝酒造、八重泉酒造、咲元酒造、上原酒造から泡盛の提供があり、それぞれのテーブルには違う銘柄の泡盛が並んでいた。参加者の多くはまずテーブルの上の泡盛を飲んだあと、それぞれに好きな銘柄を見つけてはコップを持って移動したり、ボトルごとトレードして泡盛を楽しんでいた。ボクのテーブルでは久米仙酒造のまっきーさんが「G.E.M.」を持っていたので、他のテーブルに先んじて「G.E.M.」をいただく。ボクは「良かった~。このお酒、販売してからまだ試飲していなかったんだよね(っていうか、買って飲めよ)。だから一度、飲んでみたかったんだ」といい、一杯目はストレートで。「旨い。原酒が美味しいからヘタなウィースキーよりも数倍旨い」と大声でいうと、周辺のテーブルから「あ、G.E.M.だ。こっちにも頂戴」と声がかかる。ボクは慌てて一杯目を飲み干し、同じテーブルのメンバーに注ぎ、ついでにさりげなく自分のコップに2杯目を注ぎ隣へ渡す。結局ストレートで2杯目のG.E.M.の味を確認。すると、体がほんわりとしてきて気持ちがゆったりとしてきた。続いて識名酒造の「時雨」をロックで飲み始めるとどんどん、心地よくなってきた。それからテーブル上にあった忠孝プレミアムを飲んでいると、上原酒造の上原弘嗣さんが「古酒神泉」を手にテーブルに来た。そこで忠孝プレミアムを飲み干しコップを空け、氷を入れ古酒神泉をロックで飲む。

だんだん気分も良くなり話す声も大きくなりだす頃、遅れて咲元酒造の佐久本啓社長が「三年古酒」を持って登場。それも遠慮なくロックで飲み干すと、だんだん楽しくなってきて体が宙を飛ぶように気分が高揚してきた。ボクは、これが黒麹團の陰謀かと思いつつも思考能力が低下しており、いろいろ考えることが面倒くさくなっていくのがわかった。

やがてドン小野さんが動き出した。お猪口を購入した人だけが参加できる古酒が当たるジャンケン大会を行うというのだ。景品の古酒は二種類。まずは参加者全員のお猪口にそれらを注いで、残った分を優勝者がもらえるのである。ボクは一回戦、二回戦と順調に勝ち、三回戦まで勝ったところで泡盛ファンの知念さんと一騎打ちになった。ボクは、どんどん強気で攻めていたのだが四度にわたってあいこになり、五度目で弱気に出したチョキで負けとなった。勝負に勝った知念さんはボクの健闘を讃えてお猪口に古酒を入れてくれた。

ジャンケン大会が終わる頃は会場は異様な熱気に包まれていた。みんな口々に「泡盛ウメェ。もっと飲みたいなあ」とか「泡盛サイコー」と絶賛の声があがる中、「泡盛なら世界征服も可能だ」という声が聞こえてきた。その声を上げた場所を見てみると、黒麹團のTシャツを来た一団だった。その中になんと、現在、訳あって(おそらく何某かの作戦行動のための偽装)休職中の泡盛新聞中部支部長のS葵ちゃんと我社の調査企画部のスーパー泡盛ジョーグーマッキーひとみちゃんがいるではないですか。

我社の強面主宰は密偵を何人送り込んだか言ってなかったけど、まさか彼女たちも我が社の密偵なのかと注意深く見ていると、どうやら密偵らしい動きではなく、単なる酔っぱらい女の振る舞いをしている。相手を油断させるための演技なのかと思ったが、どうやらそいうのではなく、それぞれにあっちこっちのテーブルに移動しては乾杯を繰り返し、かなり怪しい行動(酔っぱらいとしては正しい行動だけど)をしていた。

2017_07-13_sneak-report_secret-society-black-koji-team03もはや彼女たちは密偵として潜り込んだとしても、心の底から黒麹團に染まっているのは間違いなく、そこのことを強面男、あ、違った、強面主宰に伝えなければと思った。潜入したボクも多くの参加者の素性を知るために、各テーブルを回って乾杯を繰り返す。同じ階の別室に行くと瑞穂酒造営業部の川崎さん、神村酒造営業部の外間さん、崎山酒造廠の営業担当者がいたので、とりあえずここで泡盛新聞としてあいさつ。すると崎山酒造廠の崎山淳子専務が「松藤5年44度」を持参しているいではないですか。これは遠慮なく飲むしかないと思い、専務に氷の入ったグラスと松藤をもらい乾杯。それから専務にあいさつして席を離れた。そして元の席に戻りつつも隣の席の黒麹團の女性陣にあいさつしながら乾杯を繰り返しているうちにボクの体に異変が。明らかに普通の状態ではないのだ。声は大きくロレツが回らず、うまく歩くこともできなくなっていた。もしかしたらボクが秘密結社の正体を暴くために潜入調査したことがバレて、黒麹團のメンバーがボクのコップに何か入れたのではないだろうかと思った。例えば飲んでいくうちに酔っ払った状態にしてしまう液体とか。ボクは自分が酔いのピークに近いことを自覚した。そして今後の黒麹團との接触方法を検討すべく話し合いを持とうと密偵の浜ちゃんを探すことにした。

ところが浜ちゃんが見当たらない。どうやら別の場所で黒麹團のメンバーに捕まって酔っ払っているらしいのだ。ついに浜ちゃんも密偵がバレて、透明な液体を飲まされ続けたらしいのである。ボクは最後の力を絞り参加した全員での記念撮影に参加した。その後、記憶は曖昧になり、記憶をなくす前に強面主宰に送るべきメッセージを記録した瞬間にブラックアウト。

そしてボクの記憶が戻ったのは翌朝、自宅の布団の上だった。昨夜残した最後のメッセージを見ると、かろうじて読める字で「悪の秘密結社と思われていた黒麹團は、確かに世界征服を目論むアクの結社だった。ただし、アクはアクでもアクの強いメンバーが集まった、アクの結社である…」
2017_07-13_sneak-report_secret-society-black-koji-team04(嘉手川学)

 

場所

店名:じまんや那覇店
住所:〒900-0013 沖縄県那覇市牧志2-17-46
連絡先:098-943-2081
営業時間:17:30~1:00(ラストオーダー12:30)
定休日:無し
総席数:55席(個室あり)

 

店名:泡盛之店 琉夏
住所:〒900-0014 沖縄県那覇市松尾2-10-1 第一牧志公設市場西口
連絡先:098-862-6743
営業時間:11:00-21:00※変動あり
定休日:無休(仕入れの為休むこと有り)
駐車場:近くに有料あり

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