おでんや族バンザイ 文/座間味 宗徳(昭和45年6月1日)

  • [公開・発行日] 1970/06/01
    [ 最終更新日 ] 2016/01/04
   

風かおる5月になると、南の島は昼が長くなり太陽はなかなかケラマの後えサヨナラをしない。1970_6_1_odenyazoku-banzai_zamami-soutoku8時間の勤務を終えてネオンの瞳がウインクを始めるまでの長さは勤務時間より苦しいとはノミ族の話である。しかしこのノミ族のために早く開店を始めるのがナントカ横丁のオデン街である。

あのなんともいえないオデンの香りがスーッと空腹に入っていくと、もう入り口の看板などは不要で、すぐ飛び込んで開店以来使い古された腰掛けに座ってしまう。この横丁のノミ族はビールや洋酒党ではなく、アワモリ党そのものであるからなんの世話もいらない。

目の前の棚に2~3本並べてあるビンは毎日決まった得意先の嗜好を知っているマダムは、「いらっしゃい、久し振りですね」と手を動かしながら何も言わず泡盛の1本や2本はおいてくれる。

オデンの品定めをしながら飲む泡盛はこれこそ民族の酒であり、オデン族の心から好きな酒である。

オデンのあの香りはビールの持つムードと異なり、洋酒のイメージとはまた違う独特の味があり、気どらず、おごらず、要求もされず、要求もせず、静かに杯を傾けるひと時こそ庶民の、大衆の場であろう。

そこにだけ泡盛がデンと座って酔人を見下ろしているし、またノミ族の胸?を張って、吾こそアワモリを愛しているといった顔つきで落付いている。

このオデン族を何時までも大切にし、マダムもメーカーも一つになって育てることが最も大切ではないかと思う。

一度オデン族になると二度と他に行きにくい。サービスは良し、料金は安上がり、話も淡々として出て、家路へ急げる。

あの娘は?なんて下心は全然なく飲める。全くオデン族バンザイである。

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