私の好きな酒 その6 日本酒 山野井延雄(昭和45年1月1日)

  • [公開・発行日] 1970/01/01
    [ 最終更新日 ] 2015/12/07
   

関西汽船株式会社 那覇出張所長
山野井延雄

あけましておめでとうございます。酒は人類が作り出した最もすばらしい芸術品である。1970_1_1_my-favorite-sake_kansai-kisen-ltd_yamanoi-nobuo音楽も芸術品であり、絵画も芸術であり、詩も歌も外術である。しかし恍惚として夢幻の境に遊び、雄大な気分を発揚し、憂苦を一瞬に吹き飛ばし、しかもそのうえ身にしみ透るようなうまい味にひたることができるのは酒をおいて他にない。

御存じ住江金之がその著「日本の酒」冒頭の一節であるが、さびしいにつけ酒を飲む人種はいないと思う。生まれが灘だというせいでもないだろうが、私も又その1人である。ひと口にサケといえば日本酒を指すぐらい身近に感じるのは、やはり長い歴史と一番日本の気候風土にマッチした酒だからであろう。

今年で2度目の正月を沖縄で迎えますが、気候風土の違う土地で飲む日本酒の味は郷愁(きょうしゅう)がありまた別な楽しい味わいがある。最近はまぁ嗜好の多様化と云うか時代の波と云うか、日本酒もやれレジャー用だとかやれ消費者のイメージチェンジだとか云って容器改革が非常に盛んになってきているが、私はやはり日本酒というのは1.8リッター感覚というか1升瓶の方が日本酒らしくていいですね。

本土では冬は1合~2合位晩酌していたが、最近は現場仕事が多く飲む機会も少なくなっている。日本酒のよさは地酒だが、最近は冷やで飲む人もだんだん多くなってきている。私はやはり燗酒で飲むのが一番良い。甘口、辛口を問わず自然に口に入る日本酒、幸の降るのをながめながらチビリチビリ盃を重ねる、自然の情緒を静かに味わえる日本酒は日本人の肺腑にマッチした最高の酒だと思う。例えばアメリカ人がウイスキーを飲む、これが自然でたのもしいように。

こちらは三味線あり、民謡も豊富なのでその点こちらの愛酒家は恵まれていると思う。そういう哀愁をおびた民謡を聞きながら飲む酒も又興趣(きょうしゅ)があっていいものだと思う。私はムード派というのか、昔は酒を飲んで心が通うと云うような、酒とはそんなものであったが、今は違うようだ。私は昔のああいう酒の雰囲気がこよなく好きである。

若い頃は、勿論今でも若いが・・・飲むと看板を書きかえたり、蛮声をはりあげて放歌高吟したものですが、エピソードらしいものはこれと云ってない。酒歴もかれこれ20余年になるが、酒は適度に飲むと体に非常にいいと思う。上司と飲むと固くなり、同僚や朋友同士で酌み交わすと愉快になり、明日の活力の源になる、酒は世の中に是非共必要なものだ。

“雪と日本酒”日本の土地、気候風土に密着した、そして人身に歴史と共に深く入り込んではなれないお酒、これが日本酒であり、私が又愛するゆえんである。

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